2012年2月25日

比較優位・選択と集中でも、捨ててはいけないものがある




いま、モノ作りはもうだめだから、もっと付加価値の高い金 融サービスに日本の産業構造をシフトしないとダメという議論がやかましくなっているが、ほんとなのか?



素晴らしいコンパイラ技術をもっていた富士通や日立は、その技術を若い世代の技術者に伝承することなく捨てちゃったし、プロセッサもせいぜい日立がSHでがんばってるくらいかな。



ところが、IBMもIntelもAppleもMicrosoftも、もっといえばGoogleもこれらの基盤技術は捨ててないんだよね。


野口悠紀雄氏は比較優位説をすぐ持ち出すけど、
Appleなんて経済学の比較優位でいえば、Windowsに対して比較劣位にあるOSなんてとっくに捨てないといけないのに、経営が苦しいときにも捨てなかったし、いまでも捨てない。それどころか地道に改良を続けてるし、Macintosh本体のみならず、iPhoneに使って、再び花開こうとしている。
IBMも、いまやサービスとコンサルの会社になってるけど、それでもプロセッサもOSもコンパイラも捨てないどころか、ずっと研究開発資金を投入している。
MicrosoftだってDOSとプログラミング言語の会社だったから、比較優位説でいえば、比較劣位にあったワープロやスプレッドシートやデータベースソフトを作る理由はなかったはずなのに、作って世界を支配するような大企業になった。
この辺のことを、経済学はどう説明するの? 日本の経済学者で説明できる人、いる?


ーー The LLVM Compiler Infrastructure: ホットコーナーの舞台裏








標準化は他社には見せない技術、つまりブラックボックス化した技術とは組み合わさってはじめて儲けにつながります。


Google、Apple、Microsoftも標準化をすすめる同時に、
GoogleはWeb検索を含むインフラ側を徹底的に隠していますし、
Appleはコンテンツ販売の部分は徹底的に隠しています。


日本の企業はこのあたりがお人好しというのか、
前述のように標準化というと日本では非営利な崇高な作業と思っているのか、
ブラックボックス化した技術をもたずに標準化をすすめるので、
標準化がうまくいっても、儲かる部分がないということになります。


佐藤一郎: Web日記 (2010年) - 2010年3月10日




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