2011年6月22日

日本では起業はしやすいか否か

   


「日本はベンチャーを起業しにくい」と言うひとがいる。
もちろんこれは、

 ・夢みがちなVCが途中で話をねじ曲げがち

 ・規制が多いからそれをかいくぐることをベンチャーだと誤解しがち

 ・既得権者が強いからダンピング競争になりがち

というきらいもある以上、完全に間違いとは言い切れない。
しかし実際にはVCは基本的に出資先のソーシングに困っているくらいであり、また優遇税制や自治体による補助金等も潤沢に用意されており、これ以上のお世話は箸の上げ下げレベルに入っていく可能性がある。
 
この点、より詳細に突っ込めば、

 ・出資者側の情報流の未整備によるソーシングのボトルネックの発生

 ・ステージごとの資本政策の不在

 ・偏ったEXIT戦略

 ・EXIT後の成長戦略や実務能力の不在による投資家や消費者の不信感の増加

 ・アンダーグラウンド勢力の介入を許す市場運営

等、課題は山積している。

ただそれは「起業しにくさ」ではなく
「起業した後の成長のしにくさ」であり
、実は問題が異なる。

少なくとも起業のしやすさという議論で言えば、
外部環境の整備よりも、残念ながら起業する側のビジネス経験や常識の不足によるものが少なくない。

── ハート・オブ・和代:クロサカタツヤの情報通信インサイト - CNET より



そのとおりだよね。日本では起業はしやすいんだよ。
本業でのスキルと、ちょっとした財務の知識と、
小さな子供や専業主婦や長期住宅ローンを抱えてなければ。

むしろ、このクロサカさんのエントリにあるように起業した後の
ベンチャーを支えるマシーナリーがないんだよね。
まあ、これって、「起業する人が少ないからそういったマシーナリーがないんだよ」、
「いや、そういったマシーナリーがないから起業する人が少ないんだよ」、
という鶏と卵問題になっているんだけれどさ。

で、その「成長のためのマシーナリー」議論で言うと、
上のエントリに加えて、やたらと産業に対する規制や制限が多いのも障害なんだよね。
日本ではそいつらに対処するのに足を取られがちになり、
経営者がその対応で仕事をした気になってしまい、
本業に集中できなくなる可能性が高いんだよね。

そんな例を身近で見てきたよ。
例えば、会社を上場するときに必要なあまりにアホな条件の数々といったらありえないよね。

まあ、いずれにしろ、アジェンダを間違えた議論ほど不毛なものはないというのは火を見るより明らかな事実だ。

(via kashino) (via nemoi) (via kondot) 2010-05-08 (via mcsgsym) (via ipodstyle) (via yaruo)


 

2011年6月12日

3つの封筒

ある人が某ハイテク企業のCEOに就任したのだが、引き継ぎの際に前CEOが3つの封筒を渡しながらこう言った「もしどうしても解決できない難関にぶつかった時にはこれを開けなさい」。

就任後、しばらくは業績も良かったのだが、6ヶ月目から売り上げも急速に落ち、株価も下がり始める。新CEOは窮地に立たされた。藁をもつかむような気持ちで1つめの封筒を開けると、こう書いてある「前任者のせいにしろ」。

そこで、新CEOは記者会見を開き、売り上げの低迷は前CEO時代からの戦略の誤りにあり、それを解決するのが自分の仕事だと宣言する。ウォールストリートはそれを好材料として取り上げ、株価は再び上昇に転じる。

1年ほど立つと、再び売り上げが落ち、不良品も出るという状況に陥る。そこで二つ目の封筒を開けると「組織替えをしろ」と書いてある。そこで、大きな組織替えをし、会社の業績は見事に回復する。

しかし、しばらくするとまた会社の業績が落ち始める。やむなく最後の封筒を開けると、こう書いてある。

「3つの封筒を用意しろ」

     

2011年6月1日

不振事業によく見られる症状50

1) 組織内に危機感がない。一般企業の業績悪化と社内の危機感は逆相関の関係である。
⇒業績の悪い会社ほどたるんだ雰囲気であることが多く、業績のよい成長企業のほうがピリピリしている。

2) カンパニー制や執行役員制を導入したが、大した効果をあげていない

3) 経営者は、ただ危機感を煽る言葉を口にしているだけである。

4) 横並びの業界心理が経営陣を支配している

5) リスク戦略の実行能力の低い人材が、改革者として配されている。

6) 経営スキルの低い経営者が、社員の意識を変えるために「意識改革をしよう」と叫んでいる。

7) 多くの社員が「そと者」を心理的に区別している

8) 激しい議論は大人げないと思われている。

9) トップが自らハンズオンの経営スタイルをとっていない

10) 昔の事ばかりを引き合いに出す「語り部」が多い

11) ミドルが問題を他人のせいばかりにしている

12) 組織に「政治性」がはびこっている。

13) 時間だけが経過し、会社の取り得る選択肢が次第に減少している。

14) 会議の出席者がやたらと多い

15) ミドルが機能別のたこつぼに潜りこんでいる。

16) プロダクトマネージャーが社内政治の「掃き溜め」にされている

17) 全部署が全商品群に関与しているため、個々の商品への責任感が薄まっている。

18) 「妥協的態度=決定の先延ばし=時間軸の延長=競争力の低下」のパターン

19) 社内では顧客の視点や競合の話がなく、内向きの話ばかり

20) 「負け戦」をしているという自意識がない

21) 個人として「赤字の痛み」を感じていない。責任を皆で薄めあっている。

22) 商品別の全体戦略が「開発→生産→営業→顧客」の一気通貫で行われていない

23) 商品別損益がボトムラインで語られていない。

24) 原価計算がたくさんの商品を丸めた形で行われている

25) 赤字の原因を個々の「現場」に遡及することが出きない。

26) 関係会社を含めた商品別の連結損益が見えていない。

27) 利益志向の管理システムが途中で切れており、組織末端では旧来の売上高志向から抜け切れていない。

28) トップも社員も表層的な数字ばかりを追いかけ、議論が現場の実態にせまっていない。

29) 開発者がマーケティングや市場での勝ち負けに鈍感になっている。

30) あれもこれもと開発のテーマが多すぎる

31) 開発陣が「顧客メリットの構造」「顧客の購買ロジック」を完全に把握していない。

32) 社員が外部に会社の不満を垂れ流し、会社の看板を背負うことを投げ出している。

33) 過去の戦略不在やふらつきのため、取引先が不信感を抱いている。

34) 組織末端のあちこちに一種の被害者意識が広がっている。

35) 本社の商品戦略が顧客接点まで届いていない。

36) 営業活動のエネルギー配分が管理されていない。

37) 「絞り」「セグメンテーション」の考え方が足りない。

38) 「戦略」が個人レベルまで降りておらず、毎日の「活動管理」のシステムが甘い。

39) ラインの推進力が弱く、スタッフが強い。

40) 代理症候群が広まり、組織の各レベルにミニ大将がはびこっている。

41) 社員は勤勉ではない。とりわけ役員やエリート層が汗を流して働かない。

42) 抜本的に構造を変えるべきものを、個人や狭い職場の改善の話にすり替える人が多い。

43) 組織に感動がない。表情がない。真実を語る事がタブーとなっている。

44) 社員が心を束ねるために共有すべき「攻めの戦略」が提示されていない。

45) 総合的な分析力と経営コンセプトに欠けている。戦略と現場の問題がバラバラに扱われている。

46) 事業全体を貫くストーリーがない。組織の各レベルで戦略が骨抜きにされている。

47) 対処療法的な組織変更や人事異動が頻繁に行われ、既に改革疲れを起こしている。

48) 会社全体で戦略に関する知識技量が低く、戦略の創造性が弱い。

49) 幹部の経営リテラシー(読み書き能力)が不足している。

50) 狭い社内で同じ考え方が伝播し、皆が似たようなことしか言わない。社外のことに鈍感。




— TABLOG:ダメな会社の不振事業に当てはまる症状50
http://blog.livedoor.jp/tabbata/archives/50679863.html より